テニス界でひときわ異彩を放つ存在、それがアレクサンダー・ブブリク(Alexander Bublik)です。
独特のプレースタイルと自由奔放な性格で、多くのファンを魅了し続ける彼ですが、その一方で“天才”と“異端児”の両方の評価を受けることもあります。
この記事では、ブブリク選手のプロフィールから特徴、強さの秘密、長所・短所、そして数々の印象的なエピソードまでを詳しく解説します。
1. プロフィール
- 名前:アレクサンダー・ブブリク(Alexander Bublik)
- 国籍:カザフスタン(元ロシア)
- 生年月日:1997年6月17日
- 身長 / 体重:196cm / 84kg
- 利き腕:右(両手バックハンド)
- プロ転向:2016年
- ATPツアー優勝数:5回(2025年8月現在)
- 最高ランキング:世界ランキング18位(2024年)
ブブリク選手はロシア・サンクトペテルブルク生まれですが、2016年に国籍をカザフスタンへ変更。
転機となったのは資金面のサポートです。ロシアでは十分なバックアップが得られなかったため、カザフスタン協会が彼を支援したことがきっかけで、現在の国籍に至ります。
2. プレースタイルの特徴
ブブリクはATPツアー屈指の“トリックスター”として知られています。従来のパワーテニスとは一線を画す、奇想天外で予測不能なプレーが最大の魅力です。
(1) 圧倒的なサーブ力
- 身長196cmから繰り出される最速220km超のサーブは大きな武器。
- フラット系からスライス、スピンまで多彩で、1stサーブ成功率も高い。
- 特に2023年以降は、サーブ&ボレーを織り交ぜた戦術でポイント奪取率を上げています。
(2) 突発的な“お遊びショット”
- 代表的なのが「アンダーサーブ」。
相手がリターン位置を下げた瞬間、突然アンダーサーブでポイントを奪う場面が多いです。 - ノールックショット、ドロップショット連発、バックハンド片手打ちなど、常識にとらわれないショット選択を多用。
- 観客を沸かせる反面、時に“自爆”するリスクも抱えています。
(3) 攻撃的でリスクを恐れない
- ラリーを続けるよりも、早めに仕掛けることを優先。
- 高リスクなショットを選ぶため、勝つ時は圧勝、負ける時はあっさり負ける試合も少なくありません。
3. 強さの秘密
ブブリクの強さは「パワー」「意外性」「精神面の開放感」の3つにあります。
(1) “読めないテニス”が最大の武器
彼の試合は対戦相手にとって“悪夢”とも言えます。
なぜなら、どのポイントでどんなショットが飛んでくるか予測不能だからです。
トップ選手は緻密な戦略を立てることが多いですが、ブブリクはあえてその逆を行き、計算不能なプレーで崩します。
■2025年シナー撃破の衝撃
2025年最大のニュースは、世界ランク1位ヤニック・シナー選手を撃破した試合です。
これはATP500のロッテルダム大会準々決勝での出来事。
- 試合結果:ブブリク vs シナー 6-4, 3-6, 7-6(5)
- 勝因:
- シナーの後方リターン位置を狙ったアンダーサーブの多用
- サーブ&ボレーの成功率80%以上という驚異的な数字
- 第3セットでのメンタルの強さとショット選択の大胆さ
この勝利はブブリクにとって大きな自信となり、テニス界でも大きな波紋を呼びました。
「計算不能なプレーがトップ1を倒した」象徴的な試合です。
(2) 大舞台でこそ輝く勝負強さ
- 2023年ハレ(ドイツ)ATP500での優勝は象徴的。
決勝ではアンドレイ・ルブレフを破り、見事にタイトルを獲得しました。 - ビッグサーバーであると同時に、芝・ハード・インドアの適応力が高く、特に高速サーフェスで本領発揮します。
(3) “楽しむ姿勢”が集中力を生む
ブブリクは「テニスは遊び」と公言するほど。
一見ふざけているように見えるプレーも、彼にとっては“ゾーンに入るためのルーティン”であり、結果として緊張から解放され、爆発力につながっています。
4. 長所と短所
長所
- 圧倒的なサーブ力:1stサーブでポイントの大半を稼ぐ
- 予測不能なショット選択:アンダーサーブ、ノールック、ドロップなど
- メンタルの切り替えが早い:ミスを引きずらない
- 芝やインドアでの適応力が高い
短所
- 安定感の欠如:攻撃的すぎてミスが多い
- 感情の波が激しい:集中が切れると極端にプレーが乱れる
- 守備力はトップ選手と比べて劣る
- ランキングの維持が難しい:大勝もあれば大敗もあるため、ポイントが安定しづらい
5. 性格とコート外での一面
ブブリクは、ATPツアーでも有名な**「自由人」**です。
- 試合中のジョーク
観客や主審に話しかけるなど、リラックスした雰囲気を作るのが得意。 - 正直すぎる発言
2021年に「正直、テニスはそんなに好きじゃない」とコメントして話題に。 - 人懐っこい一面
同世代の選手とも仲が良く、特にメドベージェフやルブレフと親交が深いです。
6. 試合中の印象的なエピソード
(1) アンダーサーブ連発事件(vs モンフィス)
2020年のATPロッテルダム大会で、ガエル・モンフィス相手に5本連続でアンダーサーブを打った試合は伝説的。
観客は大盛り上がり、しかしモンフィスもノリノリで対応。最終的には敗れたものの、この試合で“トリックスター”の異名を確立しました。
(2) ラケット破壊事件
2022年のインディアンウェルズでは、判定に不満を持ち、試合中にラケットを3本連続で破壊。
この騒動で罰金を科せられたものの、本人は「観客が喜んでたからいいだろ」とコメント。
彼らしいエンターテイナー精神を見せつけた一件です。
(3) 結婚後の安定感
2021年に結婚してからは、以前よりも精神的に落ち着きが増し、試合内容も安定しつつあります。
家族の存在が、彼のキャリアに好影響を与えていると本人も語っています。
7. ブブリク選手のこれから
2025年現在、ブブリクは世界ランキング20位前後で安定。
“遊び心”を忘れずにトップ選手たちに挑み続ける存在であり、ATPツアーの中で最も「観客を楽しませるプレーヤー」のひとりです。
ただし、今後トップ10入りを狙うなら、安定感と守備力の強化がカギ。
それができれば、グランドスラムでのベスト8・ベスト4進出も十分視野に入ります。
まとめ
アレクサンダー・ブブリク選手は、ATPツアーの中でも異彩を放つ存在です。
圧倒的なサーブ力、意外性抜群のショット、そして何よりテニスを“楽しむ”姿勢が彼の魅力。
勝つ時も負ける時も、常に観客を魅了する――そんな唯一無二のプレーヤーです。
「次は何をしてくるのか分からない」――ブブリクのテニスは、これからもファンを虜にし続けるでしょう。